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2011年1月31日 (月)

PSSはPS革命の再来になるかもしれない

当初、NGPが発表されたことについて、あまりにもインパクトありすぎて、PSS発表(PSスイート)のことを考察する暇がありませんでしたw

しかし、PSSについて色々考えれば考えるほど、壮大な計画であると感じました。

【西田宗千佳のRandomTracking】「NGP」と「PSS」でSCEが狙うもの。平井CEOインタビュー -AV Watch

【本田雅一の週刊モバイル通信】 ゲームプラットフォームから“ハードとOS”を切り離すことを試みるSCE

(朝日新聞社):ソニー、アンドロイド端末にゲーム配信 アップルに対抗 - PC・ゲーム - デジタル

PSSは、PS1アーカイブ対応はもちろん、PSSネイティブアプリもサポートするようだ。

簡単にいえば、Android/NGPマルチ対応PSSゲームを作るのは容易になるようだ。

例えば出先ではスマートフォンで遊び、その続きを自宅にあるタブレットやTVで遊んだり、あるいは端末を買い換えてもアプリケーションや個人ストレージがネットから降ってきて、何事も無かったかのように遊びを続けられる。

 また、PSSとNGP、PS3の世界はPSNを通じてつながるため、例えばPSSでソーシャルコミュニケーションを中心にしたアイテム交換やキャラクター育成を遊び、NGPやPS3で本編のゲームを遊ぶといった連携もできるだろう。すべてがネットワークで繋がっていけば、遊びの幅も、遊びを起点にしたビジネスの幅も拡がる。

PSSはまさにクラウド型ゲームプラットフォームといってもいいかもしれませんね。

例えば、PSP版のモンハンシリーズのぽかぽかアイルー村がPSS経由にAndroidに移植されたらどうなるか?と想像すれば分かりやすいかもしれない。

Sairucapcom20110131

ぽかぽかアイルー村はモンハン持ちのような複雑な操作を求めるゲームではないので、カジュアルユーザーでも遊びやすいゲームだといえる。もしソーシャル対応されたら、色々面白いことができるかもと想像できる。DSの「おいでよどうぶつの森」のようなゲームがソーシャル対応になったといえば分かりやすいかもしれません。

アイテムデータなどのセーブデータはPSNにて保存(同期)されるので、(※1)AndroidもNGPも遊べて、将来には他プラットフォームでも対応されるようになれば、極めて強固なプラットフォームになる可能性もあります。

(※1:PS3のセーブデータの保存/同期もクラウド化になる計画があるらしい。NGPも対応される可能性がありそうですね。)                            

AndroidでPSS版アイルー村を遊ぶ。ソーシャル対応であれば、PSP版より他人との交流などがさらに広がるだろう。 

PSS対応ゲームはNGPで遊ぶ必要がないのが、ある意味最大のメリット。

おそらくいわゆるカジュアルユーザーにはPSP/NGPを外へ持ち出すには抵抗感があるだろう。しかし、Androidスマートフォンならいつも持ち出すのは普通になっている。

また、NGPでPSSをプレイするユーザーよりPSSをプレイするAndroidスマートフォンのユーザーの方が多い可能性が十分にあります。

PSS対応端末が多ければ多いほど、ゲーム開発会社にとっては非常に魅力的なプラットフォームと映るのだ。

参考:Android端末の世界出荷台数、1309%増の2000万台に――米Canalys調査 - ITmedia News

PS3連携も可能になれば、立派なゲーム広告になる可能性もある。例えばPS3版モンハン新作が出ることを、Android版アイルー村にて宣伝されるので、わざわざTVCMを行う必要がなくなる。

Androidの人気アプリも、PSSへの移植が容易になれば、Android/NGPマルチが当たり前になる可能性もある。

PSSの審査はApple Store並に厳しくなると思われるが、過激なゲームなどでNGになったといっても従来通りAndroid専用で販売すればいいのだ。ゲーム開発会社にとってはリスクが少ないと思えるのだ。

また、技術的には今まで作られたAndroid専用アプリからPSSへの簡単な移植はおそらく可能と思う。PSSに移植することはNGPに対応されることになります。

PSSの審査はどこまでOKか未知数だが、Androidスマートフォンに劣らないほど、いろんなアプリのインストールが可能になるかもしれない。NGPでPDFファイルをサクサク読めるのは可能になるかもしれない。汎用動画対応もOKになるかもね。i文庫のようなキラーソフトの移植に期待できるかもしれない。

【PC Watch】 Android用読書ビューワ「i文庫 for Android」試用レポート ~青空文庫のほかPDF/ZIP圧縮JPEGビューワとしても利用可能

今後では、いわゆるカジュアルゲームはAndroid/iPhoneスマートフォンで主流になる可能性が高い。

今までのそういうゲームは、任天堂のDSでは得意分野だったが、いわゆる脳トレ系とか学習系アプリ(ここではDS系アプリとします。)はPSS対応されることになれば、ゲーム関連市場ががらりと変わる可能性もある。

簡単にいえば、AndroidでDS系アプリをプレイできるようになるわけだ。iPhoneアプリにも、学習系アプリが色々配信されているので、タッチパネル対応スマートフォンでは相性がいいのは間違いないのだ。

PSSアプリを開発するのは、Androidアプリを開発するとの意味なので、ゲーム開発会社にすれば開発費のコストダウンを期待できるのだ。

SCEとしては苦手だったカジュアルゲーム(DS系アプリ)への対応が極めて万全になる可能性もある。

そのやり方が成功すれば、SCEとしてカジュアルユーザーもコアゲーマーも両方獲得できる可能性もある。今のところNGP発表でコアゲーマーの心を完全に掴んでいる。PSS対応でカジュアルユーザーも獲得する可能性が高まったのだ。

Androidはきわめてオープンなプラットフォームであるため、ハード(解像度、スペック)の環境がバラバラである。その複雑な環境に対応するにはゲーム開発会社にとっては手間がかかる。しかしPSS経由なら開発の手間を減らすのは可能だ。
ちなみに、iOS系プラットフォームはAppleが全て管理しているので、ゲーム開発会社にとっては対応しやすいといえる。

また、ひとりデベロッパーレベルの方々でも参入できるように考慮されているらしいので、PSSはApple Store並のストアになる可能性もある。

PSSは、考えれば考えるほど恐ろしい戦略だと思えるのだ。それができるのは世界でもSCEしかないと思える。PS系コンテンツ資産が極めて豊富なのが最大の強みなのだ。Appleでさえそういうコンテンツを持ってない。

話は変わるが、前回のエントリーにて、NGPでのPSPの互換性についてバイナリ変換説を書いたが、どうやら完全エミュレーションでPSPソフトが動作していることだったとか。正直言って驚きでした。

PSPの完全エミュレーションができるNGPの性能については予想以上パワフルとは驚かされる。となると、将来的にはPSPソフトもPSS対応されるようになれば、スマートフォンでもPSPソフトをプレイできることになりますね。

スマートフォンの半導体の進化は驚くほど速いので、おそらく3~4年後あたりにAndroidでPSPソフトも動作されると思います。(まあスマートフォンにはゲーム系ハードキー搭載が難しいので、ゲーム操作性がネックになっているため、直接のライバルにならないと思います。)

もしかしたら、数年後あたりでは某有名大作RPGシリーズはPSS対応になるかもしれないなと思っている。

まずはリメイクあたりでやりそう。頭のいい経営者なら気づいているはずだけどね。(苦笑)

普及台数至上主義でプラットフォームを決まるなら、Androidスマートフォンが本命じゃないかなと思いますけどねw

ところで、PSファミリーがAndroid等の他プラットフォームへの進出については、ある方のお言葉を思い出しました。

進化論で有名なダーウィンが、以下の言葉を残している。

“IT IS NOT THE STRONGEST OF THE SPECIES THAT SURVIVES.
BUT THE ONE MOST ADAPTABLE TO CHANGE.”

「この世に生き残る生物は、 最も強いものではなく、 最も知性の高いものでもなく、 最も変化に対応できるものである」

SCEには積極的に変化に対応しようとする姿勢がはっきりと見えました。やはりPSファミリーの未来は明るいのだ。

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コメント

久夛良木氏のブルータスのインタビューを思い出しますね。
おそらく,時代の変化に適応していると言うより,
SCEIの目指しているモノに時代が追いついた,
という感じなのかもしれません。

1年ほどまえのインタビューですが,NGPとPSSを見ると,
「ようやく始まったか!」
という感じです。

クタビジョンはどうしても,
構想をぶち上げた現機種では実現できずに次に持ち越してしまうので,
わかりにくいんですよねw

記事の抜粋(どこもすごいですがここだけ)
「PS2発売時、PS3が今後出るとしたらどうなりますか?と聞かれ、きっとネットに溶けていく事でしょうと答えました。
本当はPS3はネットに溶かしたかったんです。ネットに溶かしつつゲームのリアルタイム性を実現するためにCELL構想が生まれた。でも当時はインフラや流通の問題もありまだまだ世界レベルでの実現が難しかった。」
2000年に考え,2006年にやろうとした。まあうまくいかなかったけど,2011年になんとか形に。プラットフォームホルダーのトップのこの発言と見通しと実行力。やっぱり,この人すごいです。

投稿: kon2 | 2011年2月 1日 (火) 08時42分

あ,あと今回のNGP,盛んに
「モダンOS」
を言ってます。
これって,NGPはフレームワークありきで,
ハードは抽象化されてることも表しているかもしれませんね。

そうなると,CPUがなんであるとかGPUがなんであるとか
というのを議論するのはナンセンス,なのかもしれませんねw

投稿: kon2 | 2011年2月 1日 (火) 09時04分

>kon2さん
もう数年前からCPU云々に興味がなくなったのは、こういう事になるだろうと想像できたからです。
人々が、欲している事柄のラインが飽和状態になっている事も、5年前からわかっていましたし、そうなればネットへの融合というビジョンに行くのも当たり前ですしね。

未だにそういう事を考えられない経営者も多いようですし、ライターもそう。
NGPには凄く興味がありますが、その興味はゲーム機じゃないんですよ。
PSPでもそういう事を望んできましたし、できると思っていました。
しかし、経営者の頭が固すぎて、発展できなかったのは残念です。
今回のNGP関連の発表で、根本的にハードが変わることでシステムも変化しやすかったんでしょうというのが良くわかりますもん。
DSとはそういう点で奥行きが違うんですよね。

投稿: 結うまい | 2011年2月 1日 (火) 14時39分

>結うまいさん
PS3もうまくいってるかどうかは別として,
Cellという独自要素があるものの,
基本的に発展可能なアーキテクチャにまとめてますしね。

個人的にはPS2の
「全てのエンタテイメントはここに集まる」
というフレーズのカタチになったものがPS3やNGPだとすれば,
iPhoneなどのスマートフォンや3DSなどとは別物なんだろうな,
という感じです。
でもまあ,iPhone/iPadに対抗できるのは,
別の切り口であるNGPなのかもしれないなあ,
とは漠然と思ってはいますが。
(だって,いまあるのは「iOSもどき」しかないですもん)

3DSに関しては,まああれもアリかな,と。
あんまり「次」が見えないですが,それもいつものことなので・・・

投稿: kon2 | 2011年2月 1日 (火) 18時58分

PSSはほんとうに面白い施策ですよね
アンドロイド2.3以降はゲームに対してOSレベルで
サポートしてるって情報も見ましたし
だとすると相当前からグーグルとソニーは協議していたんでしょうね

そしてこのPSS(PSN)はある種グーグル公認ゲームストアにもなりうるわけで
そう考えると心強いです

投稿: どぐま | 2011年2月 1日 (火) 23時59分

>>kon2さん

久夛良木さんのビジョンが5年ぐらい遅れてやっと実現されているところが面白いですねw

それにしてもNGPとPSSの投入タイミングは見事といえるほど素晴らしいですね。もしAndoroidの急成長がなければ、PSSの価値が高まることができなかったところです。本当に運がいいと思いますよ。2年早かったらやばかったところです。1年遅かったら微妙になったかもしれないし。

NGPのメモリーは512MB+128MBらしいので、やっとモダンOSを採用できるようになったからね。iPhone5のメモリー容量がどれぐらいになるか気になるところですw(iPhone4はUMA系で512MBらしいので、NGPの方が多いとは驚きですね。)

多分NGP-2000あたり、1GB搭載になるじゃないかなという気がします。ゲーム機能として512MB+128MB領域を確保して、余ったメモリーでPSSやブラウザ関連に使うとか。(PSP-1000とPSP-2000以降の関係と同じ。)

TV出力をオミットしたのは、1080p出力のために貴重なVRAMなどの容量を消費したくなかったかなと思う。メモリー容量強化版になってから搭載されるかもね。

投稿: mkubo | 2011年2月 2日 (水) 02時48分

>>結うまいさん

まあ、PSPに関しては仕方ないと思いますよ。技術的問題が大きかったからね。メモリーも初代iPhone3Gの1/4だからね。(PSP-1000はわずか32MB)

NGPでiPhone4以上の容量を搭載するので、やろうと思えばiPhoneのような使い方ができるかもしれませんし。(仕事関連アプリはNGになる可能性もありますので、楽観視できませんが。)

本当に色々期待が持てるハードが登場したなと思いますね。

投稿: mkubo | 2011年2月 2日 (水) 02時56分

>>どぐまさん

そうですね。Andorid2.3のSDKはPSPhoneのための機能が組み込まれているので、相当前からSonyグループがGoogleと協議しないと無理でしょうね。

ゲーム系ハードキー搭載PSPhoneの投入の狙いはPSS対応リファレンス機を投入することだったでしょうね。PSS開発者が、PSPhoneで開発・検証すれば十分との可能性もあります。他社端末開発者も、PSPhoneを参考とする可能性も高い。

その点を考えればPSPhoneの意味は本当に大きいなと感じます。

投稿: mkubo | 2011年2月 2日 (水) 03時03分

>mkuboさま
まあ,とりあえずは「次」が見たいですね。
つまりは次のPS4(or 3.5)と呼ばれるもの。
アーキテクチャはPS3の延長線上で,
サービスが更に拡充される,そんな感じを予想してるのですが。
現在のPS3のネックはメモリだけですからねえ・・・
(メモリが増えれば,もう少しマシなOSも奢れますので)

もし,これが実現できれば,NGPもその延長線になるのでしょう。
iOSやAndroid(またはWIndowsやMacOSX)のすごいところはやはり継続性とバージョンアップで確実に洗練されているところですので。
これを見習わない手はないわけです。

ソニーがオリジナルのOSを育てるには,PSを利用するしかないわけですしね。
NGPはいわゆるスマートフォン構成ですので,そのOSはウォークマンに乗せることも可能と言えば可能ですし。

投稿: kon2 | 2011年2月 2日 (水) 08時28分

>>kon2さん

PS4については、やはりCell搭載なのが必須でしょうね。そうでなければPS3で苦労してきたことが無駄になるし。

BDXL、Cell強化版、大容量XDR系メモリー、GPUのメモリーもXDR系対応。マルチ対応でも性能面で優勢を保つように考慮。HDMIも1.5以上。(最低でも1080/60pフレームパッキング対応。)

そういう感じで強化すれば十分だな・・

発売時期はおそらく2013年末あたりかなと思う。意外にも2014年発売の可能性もある。

NGPのLSIは家電用に転用できないかね。NGP用OSをベースに家電用にも使えたらいいのにね。

消費電力が低いし、torneのような操作感を実現できるかもしれないし。

投稿: mkubo | 2011年2月 2日 (水) 20時46分

次に出るPS4は,
PS●●とかじゃないのかもしれませんね。
NGPも未だ仮称なのは,あくまでも次世代PSPフォーマットを再生するプレイヤー,ということで,ブランディングに苦慮してるからだと思いますし。
iOSとiPhone見たいな関係が築ければよいのでしょうけど。


有機EL,ここらもネタの一つかも(妄想ですが)

エプソンとソニー、エプソン100%子会社のソニーグループへの譲渡で合意
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201102/11-0202/

エプソン液晶事業譲渡第2弾は,タッチパネル行程の工場です。

何かと妄想が膨らみますね。

投稿: kon2 | 2011年2月 3日 (木) 08時36分

>>kon2さん

まあ、PS2のときにも発表の際、正式名称を発表しなかったし。正式名称が発表されたのは1999年9月。
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990913/ps2.htm

PSP2という名称は確かに微妙かもしれませんね。とはいえ、PSという名称を捨てるとは思えないし。

エプソン工場の件を含めて、NGPの有機ELについて色々考察してみました。少なくとも初期型NGPはソニーモバイルディスプレイ製ではないかと思います。現時点では日本メーカーではまともに量産できるメーカーはソニーぐらいとか・・TMD(東芝)には量産できるラインを持ってないとか・・せっかく技術力があるのに・・

投稿: mkubo | 2011年2月 4日 (金) 00時15分

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