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2012年5月30日 (水)

ソニー・パナソニックがどんな有機EL方式を使うか

宿敵ソニー・パナソニックが有機ELで提携、次世代パネル競争の勝算

週刊東洋経済の先週号(5/26号)の記事がネットに掲載されたので、ご紹介したい。

箇所書きでまとめ、僕なりの見解を補足したい。

・ソニーとパナソニックの連携は、ソニー側の働きかけ。他の日本企業へも働きかけている模様。

・パナソニックはプラズマ等への巨額投資に対する反省により、有機ELは同じような巨額投資は行わない。
・ソニーも、8期連続でテレビ事業の赤字が続いているので、テレビ事業に関する巨額投資は避けたい。

・ソニーは一年近く前から、AUOと有機EL分野で提携に向けて交渉中。
・パナソニックも、ソニーとの交渉と並行して台湾勢を中心に有機ELパネルの調達先探しに奔走してきた。ソニー─AUO連合との提携は有力な選択肢である。

・サムスンが有機ELで先行している。LGはかろうじて製品化したレベルで歩留まりは悪い。AUOはまったく追いついてない。

余談で、韓国メーカーが日本人技術者を引きぬいた話もあるだが、以下の麻倉氏の記事によると、元三洋の技術者たちもいることが明らかになっている。

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20120312/1040022/

三洋電機はサムスン電子のもともと兄貴分です。サムスン電子がまだ開発力などで劣っている時に、技術やマーケティングなどにおいて三洋電機が指導していたのです。そういった良好な関係があったため、三洋電機が有機EL開発をやめた際に開発者がサムスン電子に移ったのですね。

私は当時、サムスンSDIに行くことがありましたが、会合の席の奥の方で恥ずかしそうにしている日本人団体らしき人達がいました。それがもと三洋電機の人達でした。日本人としては恥のような気がしていたのでしょう。

麻倉氏が実際に目撃したという証言あるようで、韓国メーカーで日本人技術者が勤務している件に関しては、明確なソースはこれでしょうね。また麻倉氏によると、LGは元ソニー・JVC技術者が勤務しているそうだ。まあ結果的に日本メーカーのリストラによって韓国勢を強化させたといえるわけです。(個人的には日本メーカーを責める気になれませんが。)

・ソニーは低分子の有機材料を高温で気化しパネルに吹き付ける「蒸着方式」で、11型のXEL-1を開発し、販売したが、現在は25型業務用有機ELモニターしか製造されてない。

・サムスンも、「蒸着方式」を採用している。当座の現実的な量産方法だが、ただ大型化が難しく、大がかりな設備投資が必要だというデメリットがある。

 
(ソース:tech-onより)

方式の比較表で纏められているので分かりやすい。

ソニーの有機ELテレビ「XEL-1」、新世代画質の秘密
上記の2007年の時点の記事によると、ソニー技術者が、メタルマスク方式の限界を既に指摘してます。

しかしメタルマスク方式で大型化すると、マスク自体の変形が発生したり、(パターニング時の)位置精度が得られないといった問題が生じます。他社を含めてもメタルマスク方式で商品になっているのは中型まで。一般的に大型と言われるテレビを作るのは難しいのです。その限界を打破するため、マスクがいらないプロセスを開発しています。

また、レーザー転写方式(LIPS)による大型化を検討していたと証言している。LGが採用している白色有機EL+カラーフィルター方式も検討していた模様。パナソニックが採用するといわれる、インクジェットでパターニングする方式も検討していたようです。

サムスンも、LITI(レーザー熱転写)方式の採用を検討しているようですが、実際に採用実績はまだないそうです。LIPSとLITIの違いについては基本的に同じ技術と考えてもいいみたいです。

ちなみに、以下の記事によると、サムスンの開発しているLITI技術は別に独自開発技術ではないことです。
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1109/09/news004_2.html

LIPSのメリットは、高精細化は可能だといわれている。つまり4K2Kの有機ELを製造できるようになるかもしれません。「蒸着方式」のままじゃ、大型化+高精細化は厳しいだろうと思います。実際、液晶並にスマホの高解像度有機EL(リアル解像度)パネルが出てませんし。

一方、パナソニックは約5年前から住友化学と組み、高分子の有機材料を用いた「印刷方式」を研究してきた。「大型パネル生産に適した方式でコストも抑えられる」(林氏)。姫路の液晶パネル工場に300億円を投じ年内にも試作を始める。ただ、量産には4~5年の時間と、数千億円規模の投資も必要となる。

短期的にはソニー、長期的にはパナソニックの方式を確立し、生産は台湾に委託して巨額投資を避ける──。両社技術の強みを生かしたロードマップが実現できれば、提携のシナジーも出せるだろう。

僕の予想で書いているとおり、パナソニックは2015年度までに参入すると明言しているので、現時点はソニーに比べて、開発は遅れていると見た方がいい。

いくら提携といっても、短期的にはパナソニックの方式を優先する余地はない。

ソニーは既にAUOと提携するなどに調整が進んでいるみたいので、パナソニックと提携しても、そのままソニーの方式を採用しても問題ないだろうと思います。

つまり、短期的にはソニーの方式を採用するが、長期的にはパナソニックの方式か、その方式を取り込んだ方式に統一すると思われる。

もし、ソニーがLIPS方式を実用化できた場合、ソニー側にとっては、パナソニックの開発しているインクジェット方式の採用は難しくなる可能性もあるので、どう調整するかが問題になる可能性が高い。

LIPS方式の実用化は失敗に終わった場合、メタルマスク方式がまだ使われているならば、パナソニック方式に移行しやすくなるので、提携の話はまとまりやすいのだが・・

サムスンの55型有機ELテレビはおそらくメタルマスク(蒸着法)方式かなと思う。つまりその方式を採用し続ける限り、コストダウンは極めて難しいと思った方がいい。LITI方式に移行しない限り、厳しいのではと思う。

両社ともに有機EL部門には数百人規模の開発要員を抱えているが、単独で戦う体力は残っていない。「リストラを避け、『前に進む』にはこの方法(提携)しかない」(関係筋)。ソニーは“支援”を狙い産業革新機構への働きかけを強めている。

結局、ジャパンディスプレイのように支援を受けられるかは鍵かもしれませんね。

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コメント

大変に参考になりました。サムスンでの開発も厳しい局面になっており、なかなか製品が出てこない背景が良くわかりました。

投稿: LED照明・有機EL照明器具の選び方 | 2012年12月21日 (金) 08時22分

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