LEDTV

2013年1月 8日 (火)

ソニー、世界初の4K有機ELテレビを展示!

ソニー、CESで4Kの56型有機ELテレビを展示

試作機が参考展示されるのは、56型の4K有機ELテレビ。解像度は3,840×2,160ドット。高精細映像を実現する酸化物半導体TFTと、有機EL発光層の光を効率良く取り出せるという独自の「スーパートップエミッション」方式を組み合わせたもので、自発光の有機ELならではの高コントラスト・高輝度・高速動画応答性能・広視野角を実現しているという。

従来の有機ELテレビでは、有機EL層を駆動して発光させるため、低温ポリシリコンTFT(薄膜トランジスタ)を使っていたが、パネルの大型化に課題があった。そこで、研究開発を進めてきた酸化物半導体TFTを使う事で、56型という大型ながら、4K解像度の高精細なパネルを実現したという。

噂通り、AUOとの共同開発。シャープのIGZOと同じ技術といわれる酸化物半導体TFTを用いている。韓国LGも酸化物半導体TFTを用いて、白色有機EL+カラーフィルター方式という有機ELテレビを量産しようとしていたが、ずいぶん苦戦されたことです。
詳しいことは、以下の麻倉氏の記事を参照してほしい。(無料会員サイトであるが、要登録です。)

【麻倉怜士IFA報告】LGの有機ELについて独占インタビュー、「製造は予想以上に難しいが、なんとか韓国で年内発売を」

――延期の理由は?

LG Display社でのパネル生産がなかなか立ち上がってこないことです。不良率が高い。初めてのデバイス、酸化物半導体のTFTなど、不良を出す要因は多いのです。特に酸化物半導体を用いた大型ディスプレイの量産は世界で初めてのことなので、予期せぬトラブルがあります。良品率は具体的には言えませんが、予測よりかなり低いのが現状です。目標は2013年末に80%です。今は、とてもとても。液晶パネルは97~98%ですから、先は遠い。

ソニー独自であるスーパートップエミッション方式を採用している。11型のXEL-1と同じ方式なので、高開口率および、広いダイナミックレンジ感には期待できます。

有機EL技術の中でも、最強画質といわれるスーパートップエミッション方式を大型にも採用していたことは、高く評価したい。しかも4K解像度も実現したことは凄い。

韓国LGが苦戦していたといわれる酸化物半導体TFTの歩留まりが鍵だろうと思われる。AUO側の歩留まりについては、ソニー側の液晶パネル製造に精通している技術者達が支援している可能性が高いと思いますので、意外にも順調かもしれません。AUO側よりIGZO系液晶パネルがどんどん出てくるなら、歩留まりがかなりいい証拠になります。

ソニーは印刷方式+蒸着方式というハイブリッド技術を採用しているといわれる。(高分子系は印刷方式。低分子系は蒸着方式を利用しているらしい。)

【SID】有機ELで500ppiの可能性、ソニーがオフセット印刷で実証 (無料会員サイトですが、要登録です。)

去年出展していたクリスタルLEDディスプレイより綺麗という意見もあるらしく、ソニーの有機EL開発部隊も頑張ったことですね。どっちも綺麗なので、両方とも製品化を実現してほしいですね。

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2012年5月12日 (土)

サムスンの55型有機ELテレビの量産機が発表されたらしいね

Samsung、55型有機ELテレビの量産機を公開 -高画質/狭額縁。デュアルビュー機能も

サムスン「世界初」宣言 55型有機ELテレビ発売発表

画質、消費電力は気になりますね。

画質面はサムスンとして徹底的にこだわっているとは思えんので、あまり期待しない方がいいでしょう。

サムスンは高級品を有機ELに徐々に切り替える方針で、薄型テレビの世界市場の大半を液晶が占める構図は当面変わらない。
金事業部長は「(有機ELテレビが)主流になるには2年か3年かかると思う」と述べた。

あのサムスンでさえ、2~3年かかるという慎重なコメントを出しているあたり、やはり量産化にあたって苦労しているなと分かります。

日本勢にすれば、猶予は1~2年ぐらいあるとみてもいいかもしれません。
ソニーは2013年度までに発売しないとまずいかもね。

アナリストらの事前予想より4割程度高い水準だが、同社はこの製品を薄型テレビの価格下落を抑え込む切り札と位置付けており、強気の値付けを崩さない構えだ。

強気というより、精一杯なのではw

55型でのRGB方式有機ELパネルの量産化を図るなら、コスト的にはずいぶんきついだろうと素人の僕が予想していたぞw

初めから大量量産できるとは思えないので、安い値段にしてもあまり意味ないからね。

韓国LGの白色有機EL+カラーフィルター方式(RGB+W)は、コスト的にも有利なので、
おそらくサムスンのものより安くなる可能性が高いです。

図解 次世代ディスプレイがわかる



西川善司氏の書いた本。2009年1月に発行されたもので、
2008年11月の時点で記述されているため、色々古くなってますが、
世の中にある、あらゆるディスプレイ関連の技術がわかりやすく解説されてますので、
オススメです。ディスプレイの技術に関して体系的に解説している本はあまりないので、とても良書だと思います。プロジェクター関連にも詳しく書かれてますよ。

近くの図書館で借りることができたので、読みました。

全体的には良い内容になっているとおもいますが、個人的に気になったと思った点は、有機ELはインパルス駆動であると書かれている点です。おそらく西川氏の勘違いかなと思う。あるいは書き方がわかりづらいとか。確かに実質的にインパルス駆動にするのも可能ですが。

有機ELは液晶と同様にホールド型が基本であって、応答速度が液晶より非常に速いため、擬似インパルス型にしやすいだけです。

XEL-1開発者も、擬似インパルス型にしていると明言しております。
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0712/17/news047_2.html

対して有機ELは、電気の入/切で表示をコントロールできますから、1フレーム(60分の1秒)ごとに光っている時間と光らない時間を混在させ、液晶テレビの黒挿入に近い効果を得ています。そのため、見た目の動画性能も上がっています。

ソニー独自であるスーパートップエミッション方式についてわかりやすく解説されているのが注目です。

やはりスーパートップエミッション方式は、カラーフィルターを組み合わせたRGB有機EL方式です。つまりRGB有機EL+カラーフィルター方式を採用しているのが特徴的です。

サムスンの有機ELパネルは、カラーフィルターを使ってません。大型RGB有機EL方式もカラーフィルターを採用してないと明言されています。

わざわざカラーフィルターを採用するスーパートップエミッション方式のメリットはやはりたくさんあります。(126p~127pに記載。)

・TFTの開口率とは関係なく、最大の輝度が得られる。
・外光反射の低減効果により、不要な色成分(例えば緑発光なら他のRB(赤青)成分)の影響を受けにくい。
・発光効率と色純度向上を図りやすいので、
結果的に高輝度や高コントラストが実現されやすくなる。

ちなみに、白色有機EL+カラーフィルター方式は、発光した光の1/3しか使えないので、発光効率が悪いと書かれてます。(韓国LGは改良した方式を採用してますが。)

ソニーがAUOと提携かとのエントリーを以前書きましたが、もしソニーの独自技術を完全に導入した場合、AUO製はサムスン製より高画質になる可能性が高い。AUOが外販した場合、AUOパネルを採用したソニー以外の他社有機ELテレビがサムスン・LGより高画質になる可能性は十分あると思います。

東芝あたりが有機ELテレビに参入した場合、AUO製を採用しそうな気がしますw

おそらく画質面は当面韓国勢が追いつくとは思えませんので、AUOパネルがブランド化になる可能性もあります。まあ低価格機種は韓国パネルを採用するけど、高級機種はAUOパネルを採用する形になると思う。ちなみに4K2K液晶テレビはAUO製液晶パネルを採用しているらしいし。

それほど高画質な有機ELパネルをAUOが外販してしまうリスクをソニーが許しているのは、クリスタルLEDの画質についてかなり自信を持っており、量産化にも自信を持っているかもしれません。

クリスタルLEDはBVMシリーズの有機ELマスモニより高画質である強みもあります。

サムスン・LGは、有機ELでやる限り、そのマスモニ画質を超えるとは全く思えませんので、消費者には、そういう画質差はいかに理解されるかが鍵かもしれません。ソニーがAUOのコスト競争力をうまく活かせば、リードできるチャンスが出てくるかもしれません。

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2012年4月13日 (金)

高画質・高音質路線はなんとかしても死守してほしい

ASCII.jp:「変わるのは今しかない」ソニー新CEOが経営方針を示す

ソニー「脱テレビ」へ集中投資 モバイルやゲーム :日本経済新聞

「ソニーは変わる」。平井新社長が経営方針説明 -AV Watch

「ソニー復活を象徴するような製品を」──エレクトロニクス再建への道のりは - ITmedia ニュース

問題児のTV事業はコア事業じゃなくなったのは、ある意味当然ですが、有機EL、クリスタルLEDディスプレイの商品化及び、4K対応注力など、はっきり公言してますし、高画質・高音質路線は注力していくと公言したのが、実に心強いです。

アップルが仮にiTVといわれるものを出しても、高画質・高音質の観点からみればおそらく満足できるレベルになるとは思えません。高画質・高音質にこだわる消費者にとっては、ソニーは貴重なメーカーであるので、本当に頑張って欲しいです。

確かにTV事業は終わったかもしれませんが、消費者として日本メーカー・ブランドがついてないTVしか買えない日は本当に来てほしくありませんよ。

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2012年2月17日 (金)

23インチのクリスタルLEDディスプレイが登場される可能性があるらしい

ソニーの次世代ディスプレイ「Crystal LED Display」の実現性に迫る

画質面においては、本田さんが高く評価しています。

まず動画解像度が極めて高い。よくある動画解像度確認用の映像スクロールでは、一般に動画解像度が高いとされる短残光の3Dプラズマパネルを圧倒。比べてみるとプラズマがボケて見えるほどだ。

また動画解像度が高いため、動きのある映像では4K2Kの液晶パネルを大きくしのぐ解像感を実現していた。もちろん、動きの少ない場面や写真を表示する際にはこの限りではないが、ひとたび動画となると細部の描写力で圧倒する。

細かな点ではあるが、RGBのLEDがほぼ一カ所の点に集まっていることも高画質に寄与しているように思う。通常は1画素を3つのサブピクセルに分割し、それぞれRGB階調を表現するわけだが、Crystal LED Displayでは1つの点として見える。

もちろん、“ショースペシャル”という側面はあるだろうが、これを作ってきたソニーのエンジニアには敬意を表したい。画質の面では、過去に見てきた直視型ディスプレイの中で最も優れていると断言していい。


個人的に気になったのは以下の記述ですね。

細かな点ではあるが、RGBのLEDがほぼ一カ所の点に集まっていることも高画質に寄与しているように思う。通常は1画素を3つのサブピクセルに分割し、それぞれRGB階調を表現するわけだが、Crystal LED Displayでは1つの点として見える。

西川善司氏も同じようなことを以下に言及しています。

拡大接写してもRGBのサブピクセルがほとんど分離してみえなくて、1ドットがフルカラー発色しているように見えるんです。丁度プロジェクタの投射画素に近い印象です。

最近量販店で、シャープ製70インチ液晶TVをたまたま見てきたのですが、
1画素をサブピクセルに分割している形になっているせいか、数メートル離れてもサブピクセルがはっきりと見えました。

つまり、精細感がいまいちです。

むしろ65インチプラズマの方がマシなのでは?と思うほどでした。
プラズマといえば、精細感については元々得意ではありません。

おそらくクリスタルLEDディスプレイなら70インチ2Kテレビが出ても精細感がそれほど落ちないと思いますよ。もちろん4K対応なら言うまでもないです。

クリスタルLEDディスプレイの課題として低コスト化及び製造方法について色々指摘されてます。

サファイアの結晶サイズには限界があるため、現在はサファイアガラスのタイルに対して加工とLED配置、配線を行い、それを保護ガラス上に並べて連結しているのだろう。ご存じのようにサファイアガラスは高価な材料であり、生産性も低い。脱サファイアの実現が可能になるかどうかが、Crystal LED Displayの将来を決めるといっても過言ではない。

仮にLEDの生産コスト低減、脱サファイアといった目標が達成できたならば、Crystal LED Displayは一般的なフラットパネルディスプレイとは異なるシナリオでの事業立ち上げが可能になるだろう。

量産の低コスト化を実現するにはLEDの低コスト化及び高価なサファイアガラスを使わないプロセスの確立が重要だそうです。

確かに直近での民生用の登場はあまり期待できないですね・・

Crystal LED Displayは、パネルサイズが大きい場合にはLEDの配置間隔を広くし、サイズが小さい場合にはLEDの間隔を狭めることが容易だ。現在、サファイアガラスを使っている(と推測される)ことを考えれば、業務用マスターモニターの主流サイズである23インチからCrystal LED Displayの導入を目指すという判断はあり得るだろう。

ソニーはCrystal LED Displayの製品化についてコメントを避けているが、「2013年の『NAB(National Associations of Broadcasters)』を目標に業務用マスターモニターの試作機展示を目指している」との話を関係者から伺うことができた(ただし、公式な開発意向表明ではなく、一種の社内目標のようなものだろう)。

画質面として最高峰であるBVMマスモニシリーズとして、OLEDが短命になる可能性が出てきましたね。

少なくともクリスタルLEDディスプレイの製造コスト、OLED並のコストを達成した場合、OLEDにとっては厳しい状況になっていくのは間違いありません。

対抗するには小型での高解像度化ぐらいかな。すなわち、4K2K化です。

ちなみにパナソニックから20インチ4K2K液晶ディスプレイを発表してます。業務用としてそのディスプレイを求める需要が大きいそうです。

液晶やプラズマは大規模工場への巨額投資を行い、マザーガラスを大型化して生産性を高めることでコストを下げ、競争力を強化してきた。工場への投資規模で争ういわばチキンレース的な競争である。しかし、Crystal LED Displayの場合、ディスプレイの元となる発光素子は一般的なLEDを用いることができる。これは自社で製造してもいいし、需要変動分は他社から購入してもいいだろう。

工場への巨額投資分がなくなることで、重い固定費が増えるリスクもなくなるし、
実にいいことだらけですね。むしろ低コスト化などの研究開発への投資が集中しやすくなります。

確かにソニーはOLED関連工場への投資が消極的だったのは、クリスタルLEDディスプレイの商品化に目処がついたからかもしれない。

だからジャパンディスプレイに中小型液晶事業をスピンオフさせて、初期投資の大きい中小型の有機ELパネルを生産させようとしたことかな。

仮にソニーが55型の大型有機ELディスプレイを出す場合、そのパネルはおそらく自社製にならないかなと思います。自社製はおそらく最大30インチ台までかなと予想してますけど。

むしろクリスタルLEDディスプイの低コスト化に集中投資すべきです。
画質面は無敵で、焼き付きや寿命等の耐久性もバッチリ。極めて将来性の高いディスプレイだからね。

LGの有機EL(OLED)に関しては以下のサイトで興味深いことが書かれてます。
LG Displayの2011年4Q決算:有機EL投資・量産の時期は明示せず
(tech-on会員専用サイトなので、閲覧するには登録必要です。無料です。)

55型有機ELの投入決定、ただし本格量産は2014年を想定

LG Display社のコメントは、(1)酸化物半導体基板、白色有機EL蒸着の量産準備はできた、(2)量産設備への投資時期は未定。新工場建設と既存工場の改造という選択肢がある、(3)新工場の場合に必要な投資資金は同規模の液晶パネル工場の2.5倍、既存工場であればその半分で賄える、(4)投資決定から量産までに必要な期間は18カ月程度、の4点である。

どうやら今年はいきなり本格量産するわけじゃないみたいです。おそらくサムスンもそうでしょうね。

サムスンとLG、有機ELテレビで先陣争い 「55型で世界初」の座を狙う

"世界初55型"という下らない目標のために、韓国勢が必死になっているらしいですw

ちなみに品質については一部の報道もあるようで、少なくとも韓国勢が単に世界初を目指しているものを買わない方がよさそうです。

つまり、2014年~2015年あたり、クリスタルLEDディスプレイの量産化ができれば、
出遅れになることはないと思います。

おそらくパナソニックなどのOLED参入により、OLEDが一気に主流になる可能性が高いと思います。つまりOLEDは高価格のままで売るのが難しくなるかもしれません。(液晶テレビじゃ大丈夫か?となりそうですね・・・)

しかし、クリスタルLEDディスプレイは高級ディスプレイとして売ることができるため、投げ売りといえる値下げを抑えられるかもしれません。(まあうまくいけばいいけどね・・)

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2012年1月31日 (火)

とある経済専門誌いわく、クリスタルLEDディスプレイの高評価は自画自賛らしい(笑)

 

週刊ダイヤモンドのソニー特集記事によれば、クリスタルLEDディスプレイの高評価は自画自賛であるとのことだそうです。


へー、自画自賛ですか。

麻倉怜士氏
本田雅一氏
西田宗千佳氏
西川善司氏
山之内 正氏

上記の画質評論記事として著名な方々より全て高評価となっている。

週刊ダイヤモンドいわく、その方々の記事は極めて悪質な提灯記事とのことです(笑)

言うまでもなく、週刊ダイヤモンドは以前からアンチソニー雑誌で有名です。まさしく経済誌という名称を借りたゴジップ誌です。元々生粋アンチソニーのライターが多いので、アレな特集を通すことになったでしょうね。

もし、そのクリスタルLEDディスプレイ関連の記事がなければ、他のソニーへの批判記事の信憑性が多少上がったのにね(笑)

結局自爆に終わってしまったね。自業自得です。結局ソニー関連の記事に関しては、信憑性が下がっただけです。しかもオオカミ少年状態になってしまったことです。

週刊ダイヤモンドが、今後ソニーに関してのまっとうな批判的な記事を掲載しても、ソースはまた週刊ダイヤモンド(笑)と言われるだけですよ。本件により、ゲ○ダイ並の信憑性になった感じですね。

話が変わりますけど、西川善司氏のブログによれば、興味深いことが以下に書かれている。

拡大接写してもRGBのサブピクセルがほとんど分離してみえなくて、1ドットがフルカラー発色しているように見えるんです。丁度プロジェクタの投射画素に近い印象です。


画素の見え方について、評論家の中で、おそらく一番うるさいといわれる西川善司氏の評論なので、実に興味深いです。

当面は無理やり4K化しなくてもいいほど大画面での高精細感を味わえるはずなので、究極の2Kディスプレイとして導入するしかないと思うようになりました。

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2012年1月17日 (火)

ゲーマー的には究極のディスプレイですね

 

実は驚嘆すべき新技術—— ソニー『Crystal LED』の秘密と真価【西田宗千佳氏寄稿】

●「へえ、あれって液晶テレビじゃなかったんですか」

CES2012会期中に会食した某社(非家電メーカー)氏との会話中、こんな返事が帰ってきた。いやいやいや。ちょっと待ってくださいよ。ソニーの『Crystal LED ディスプレイ』って、まったく新しいデバイスなんですから。日本のメディアの報道を観ても、どうやらあれがすごいものだという認識は薄い模様。

確かに日本のマスコミはクリスタルLEDディスプレイの凄さを全く理解してない模様でしたね。単に液晶テレビの1つと思われたらしく、韓国勢のOLEDがリードしている!という感じでしたね・・

ネットの某ジャパンサイトでも、CES取材しているのに、韓国のOLEDを大きく取り上げながら、ソニーのクリスタルLEDディスプレイを全く取り上げなかったしね。

とにかく高画質であるのはご存じと思いますので、ゲーマーとしてのメリットは別の意味で歓迎したい点が多いです。まず、表示遅延の少なさにも期待できること。

RAW(生)モードでも、極めて高画質らしい。液晶テレビならしっかり映像処理を行わないとまともな画質にならないが、クリスタルLEDなら、その処理がなくても問題ありません。ゲーマーとして歓迎できるポイントです。

特にゲーマーには気になる問題だろう。他のディスプレイも、苦手な点はそれぞれだが、やはり「下処理が必要な肉」といっていい。
だが、Crystal LEDでは、デモにおいても「ほとんど映像処理をせず、元のデータのまま流している」という。要は“生”なのだ。技術者のいう「塩だけでいける」ということは、「生でいただけるほどおいしいお肉」という意味。元々のデバイスの特質がズバ抜けているため、特別な処理を必要としていない、というのである。結果、元映像の持つ良さを最大限に楽しめるようになる。デバイスとしての表示遅延も「ほとんど存在しない」(ソニー技術者談)というので、この点でもプラスだ。

本田氏の記事でも書かれていたが、OLEDと違い、”無機”材料を使っているため、経年変化に強いという特徴を持っている。つまり、プラズマの弱点といわれる焼き付き等は無縁なのだ。OLEDも、焼き付きしやすい可能性があるといわれている。(うちのXEL-1で焼き付きを体験してないので、なんともいえませんが。)

クリスタルLEDなら、そういう心配しなくてもいいと思われる。もしかしたら、将来には、中古クリスタルLEDディスプレイが出まわっても、工場出荷状態の画質とほとんど変わらない状態でそこそこの値段で入手できるようになるかもしれません。もちろん、新品を買ったユーザーとしても、高く売れる可能性もあります。

本田氏の記事でも書かれているとおり、半導体自身が光っているため、応答時間という概念が存在しない。そのため、動画性能は極めて高い。ゲーマーとしても非常に魅力的な点だ。LEDディスプレイのコストが安くなれば、ゲーセンにも導入される可能性が高いと思います。焼き付きの心配がないからね。LEDだしね。3Dディスプレイとしてもトップクラスらしいし。

しかし、ソニー関係者は意外と楽観視しているようだ。

Crystal LEDを開発したのは、ソニーの半導体事業本部。LEDをはじめとした素材を開発する根っこの技術を開発する部隊である。ソニー・半導体事業本部 本部長の斎藤端氏は、Crystal LEDの量産について、筆者の問いに、次のようにコメントしている。
「詳しくはいえないですが、生産技術面であるメドがたったので、展示にこぎつけたんです。まあ、そこが秘中の秘というか。より高解像度な4K版ですか? 技術的な問題はなんにもない。でも、開発には順序があるからね。それだけの話ですよ。有機ELをやめるとか、テレビをやめるとか次世代開発をやってないとか、色々報道されたけれどとんでもない。うちには、画質や技術にこだわってるエンジニアが、たくさん、たっくさんいるんです。Clystal LEDはその成果。こういうのをやんなきゃソニーじゃないでしょ!」

僕の経験では、極めて現実的な価格帯で発売されるだろうと感じました。高くてもおそらく100万円台にならないだろうと思います。(多分・・)

2K対応としても、クリスタルLEDディスプレイが発売される頃、できれば次世代HDMIを搭載してほしい。理由は1080p 3D/60p対応が欲しいためです。現行のHDMIバージョンでは720p/60pまでなので、将来のPS4はともかく、現行のPCでも、1080p 3D/60p出力できているからね。

全く関係ないけど、麻倉氏の記事によれば、ソニーの高級スピーカー、AR-1は米国でも高く評価受けているそうです。

しかし、米国市場ではソニーの高級スピーカーが近年、急に評価を上げている。それが、日本では6年前に発表された「AR-1」(日本での定価は約82万円、1本当たり)。米国では数年前に発売され、すでに有名なオーディオ雑誌でリファレンスのスピーカーの地位を確立している。日本製のスピーカーが世界で注目されるのは、1970年代のヤマハの「NS1000M」以来の快挙だ。

今回、同じ音調の「AR-2」(日本での定価は約63万円)が、記者会見でデビューした。ソニーの会見で、大きなスクリーンで発表された。最近の“ネットもの”ばかりというソニーの発表会では、高級スピーカーがプレゼンテーションされることは大変珍しい。

AR-2がCESで目立った形で発表されたとは、確かに意外でしたね。CES 2012は、ソニーの原点回帰が大きくアピールされたと言う感じですね。

 

 

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2012年1月14日 (土)

クリスタルLEDディスプレイはOLEDより高画質らしい

【本田雅一のAVTrends】ソニー「Crystal LED Display」開発者インタビュー -AV Watch

OLEDとはもちろん有機ELのことです。驚いたことに、ソニーの最上位機種であるBVMシリーズの有機ELモニター25型(250万円台)より高画質であるらしいこと。

これまで多くのテレビ、多くのディスプレイ方式を評価してきたが、画質の面でこれほど弱点のない技術は見たことがない。ディスプレイ用光源として理想的な、RGB LEDのアレイで表示を行なっているのだから、当たり前と言えば当たり前だ。

しかし、現実に目の前に存在し、実利用環境に近い場所で、いつもの映像がまったく違って見えることを体験すると、何か騙された気分になってくる。従来とは全く違う絵なのに、現実感がある。これまでのディスプレイは何だったのだろうか? と自問したくなるデキだ。

従来のディスプレイ技術では、ソニーのプロフェッショナル向け有機ELディスプレイが、最も高画質だと思っていたが、有機ELに対しても大きなアドバンテージを感じる。

誰も綺麗と思っていたはずのOLEDを超えていた点はまさに衝撃的だといえる。 サムスン、LGのOLEDの画質は少なくともそのソニーのOLED以下なので、他社が他方式(液晶・プラズマ、OLED等)でどう頑張ってもLEDTVに追いつくのが極めて難しいといえる。

笑うしかないなと思いましたな・・・ 単にポスト液晶・プラズマとして開発されたというより、その次々世代のものを開発されてしまった点は他社にとっては悪夢かもしれませんw

さて、“お約束”として実用化のターゲット時期についても尋ねてみたが、当然、答えることはできないとのこと。しかし、会話の中からは、そう遠くない時期の実用化が見えているという印象を受けた。

生産技術よりも、むしろ無数のLEDを使うことの方が、コストの面では効いてくるのではないだろうか。エンジニアの方々との話では、そうしたことを感じた。

現在、LEDの生産は飛躍的に伸びており、コスト低下は著しい。世界中の照明が変化していく中、LED自身の生産規模の大きさを、Crystal LED Displayの生産コスト圧縮に応用できるというところにも、この技術の将来性、素性の良さがあるように思う。LED自身のコストが下がれば、4K対応などもアセンブルの時間の問題だけで、すぐに出来てしまう。

また、今回はCESという場で家庭向けテレビのディスプレイ技術として紹介されたが、業務用の安定した、信頼できる映像再現ができるマスターモニターとしての可能性も高いだろう。経年変化に強いという特徴は、放送局に好まれるに違いない。

量産性等は現実レベルで製造できる見通しだそうです。それにしてもわずか3年という期間で、完成度の高いレベルで量産化に近いというものが出来上がったというのは驚きである。液晶、プラズマは実用化されるのに20~30年かかってきたのにね。もちろんLEDの進化もあるが、オーロラビジョンなどの超小型化技術を実現できたソニーはやはり凄いと思います。

【西川善司の大画面☆マニア】第156回:CES特別編 55型有機EL対決 -AV Watch

サムスン、LGのOLED画質批評。少なくともXEL-1以下の画質だな。サムスンはRGB方式を採用していること。XEL-1のようにカラーフィルターを採用してないこと。そのせいか、ホワイトバランスの取り方には苦労しているようにみえる。西川氏らしく、画素の解説について参考になりました。LGは白色+カラーフィルター方式。生産性が高いというメリットもあるので、RGB方式に比べて有利ということもあり、低価格有機ELテレビとしては期待できるのではと思います。(もちろん画質としてはXEL-1以下ですけどね。)サムスンの大型有機ELテレビは本当に問題なく製造できるか、個人的に疑問です。

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2012年1月12日 (木)

クリスタルLEDディスプレイ技術解説記事

【西川善司の大画面☆マニア】第155回:international CES特別編 -AV Watch ~勇気が生んだ“無機”材ELディスプレイの秘密~

かなり専門的ですが、半導体製造プロセスにて製造されたらしいです。

基板に対して積層していくことになるが、各LEDは、CLDのドットピッチで生成されることになる。500℃以上で溶解された無機素材を結晶(Crystal)化させて成形していく工程は、一般的なLEDと何ら変わるところはない(なお、Crystal LED Displayの“Crystal”はここからきているらしい)。寿命も無機材のLEDなので、LEDそのものの寿命をイメージすれば良い(数万時間)。

今回発表されたCLDのサイズは55インチ。寸法でいうと横約1,210mm×縦約680mm程度で、ここに1,920×1,080ドットの画素があるのでドットピッチは約0.630mm(630μm)。1ドットあたりRGBの3サブピクセルのLEDで構成されるので各LEDサブピクセルのピッチはわずか0.210mm(210μm)ということになる。つまり、CLDには、210μmで個別駆動可能なLEDが約600万個実装されていることになる。

最新の半導体製造プロセスは、nmオーダーの世界に突入している。ちなみに、ソニーのプロジェクタで採用されているソニー独自のマイクロディスプレイ技術の産物である反射型液晶パネル「SXRD」(Silicon X-tal Reflective Display)は200nm(0.2μm)の製造プロセスによって製造されているわけで、半導体の製造プロセスの観点からすれば取り立てて凄い微細度と言うことではない。しかし、よく知るLEDがこの精度で、この大きさで成形されていると思うと驚くべき高精細な製造技術だ……と感心せざるを得ない。いわば、横1.2メートル、縦0.68mの複合半導体(プロセッサ)を製造したということだ。

ある意味SXRDの親戚だといってもいいかもしれませんね。

”クリスタル”という意味が分かった気がしますね。半導体だから石という意味があるし。

もしかしたら、製造についてはSXRD並かそれ以上の難易度を求められているなら、他社がとても真似のできない領域になるかもしれません。

今回のCLDでは、これまでの有機ELテレビ製品でやってきたような面発光方式を採用しておらず、画面上から下に向かって1/60秒周期のスキャン表示を行なっている。各画素の表示期間はおよそ1ms未満にしており、その表示特性は極めてブラウン管に近い。

LEDの発光応答速度はμs(マイクロ秒)やns(ナノ秒)のオーダーだが、人間の視覚メカニズムがそこまでの短残光を知覚できないので、意図的に1ms程度にしている。今回のCESで韓国系メーカーが「液晶の1,000倍の応答速度速さ(つまりはマイクロ秒)」として有機ELテレビを訴求しているが、そのメッセージに画質的な優位性はないことだけは言っておこう。

それでは「CLDは面発光ができないか」というとそういうことではない。

実際にはCLDでは面発光の仕組みの採用も検討されている。しかし、今回はブラウン管のような、キレのある動画表示性能を実現するためにあえてスキャン表示方式が選択されたと言うことだ。

今後、最終製品でどちらを採用するかは未定だという。

なるほど。ブラウン管ライク方式で表示させているか。あの帯はブラウン管やSED、FEDの画面を撮影すれば、表示されますね。肉眼では見えません。念のため。

一応有機ELのように面発光方式も可能ということか。

ただ、ソニーのFED、東芝/キヤノンのSEDの失敗など、「鬼門」と言われつつあった新ディスプレイ技術開発に挑戦し続けたソニーCLD開発チームの“勇気”と“根気”には、拍手を送りたい。

全くですね。3年前といえば、リーマンショックが起きた年。リーマンショックにより、ストリンガー氏が色々リストラしてきたが、その研究・開発をリストラせず、むしろ大規模投資してきた。

少なくともストリンガー氏の功績として評価してもいいと思いますよ。(まあ異論はあると思いますがw)

ソニーは液晶/プラズマに代わる第3のディスプレイ技術としては電界放出ディスプレイ「FED」(Field Emission Display)の開発も行なっていたことを知る人も多いだろう。2006年には、このFED事業を分社化するも、2009年には事業継続を断念、関連技術は2010年にAUOへ売却されている。CLDの開発は、このFEDとも無関係で独立で進められてきたとのことだが、最終的にはFED開発に関わった研究メンバーも合流しているとのこと。

なるほど、元FEDの研究メンバーが合流したことで、FEDと同じスキャン表示方式で表示させているかもしれませんね。できれば、面発光方式と、スキャン表示方式の切替ができたら理想的だなと思いますな。

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